アスペルガーを生きる。時に笑い、時に泣き。

アスペルガー当事者として、日々のこと、障がいのことを綴ります。

新型出生前診断の現実と、私の思い。

おはようございます。
sflowerです。

3ヶ月前、神奈川県相模原市で起こった障害者殺傷事件。
「障害者はいらない存在。いなくなった方が親も幸せだ」
といったニュアンスの容疑者の言葉と、19人もの障害者が犠牲になったということに私はショックというより、悲しくなりました。

私も、23歳の頃に自分がアスペルガー症候群であることを知ってからは、
「私はいらない存在?この障害のせいで私は苦しんできた!」
と考えて生きてきました。
障がいを受け入れるまで、8年かかりました。

そして、私は最近胎児にダウン症があるかどうかを調べられる「新型出生前診断」の現実にショックを受けました。

異常が確定したうちの94%が中絶

2013年、日本で「新型出生前診断」とも呼ばれる「NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)」が導入されました。
この検査では、「13トリノミー」「18トリノミー」「ダウン症候群」を調べることができます。
他の検査で染色体異常の疑いがあった、出産時35歳以上の妊婦に実施されます。
血液採取だけという、簡単な方法で検査ができます。

3年間で検査を受けた3万人以上のうち、染色体異常が確定した417人のうちの94%にあたる394人が人工妊娠中絶をしているそうです。

経済的に、障がいのある子どもを育てられそうにない、親である自分たちがいなくなった後の子どものことが心配、自分にも障がいがあるから育てられる自信がない、親の介護など、様々な理由があると思うので「中絶はいけないこと」と言うつもりはありません。

しかし、「子どもに障がいがあるなら産まない」という命の選別をすることで、ダウン症をはじめとする染色体異常の方、そして障がい者全体が「いらない存在」と思われてしまわないか、それが私は心配になります。

障がい者である私が思うこと

私は23歳の時に障がいを知ってから、
「弟も障がいがあるのに、私まで障がい者だったんだ・・・親に申し訳ない」
「私は今まで、親だけではなくたくさんの人に迷惑をかけてきたんだ」
と、自分を責め続けてきました。
そして、ある日
「お母さん、私が生まれてきてごめんなさい。S(弟)も、普通の(健常の)お姉ちゃんの方が良かったよね」と泣きながら言いました。
すると、母は
「そんなこと思っていないよ。Sちゃんも、お姉ちゃんのことが大好きだよ」と言ってくれました。
それからは、障がいがあってもありのままの私で、姉でいいんだと少しずつ思えるようになりました。

現在は、障がい者枠で働いていますが、職員も他の障がいを持つ従業員の皆様も優しいです。
障がいがあってできないこと、苦手なこともお互い補える関係性ができています。
全部自分でやろうとせずに、他の人を頼ることも大切であることを教えられました。

たとえ歩けなくても、言葉が思うように出なくても皆さん懸命に生きています。
いらない命など、この世に1つもありません。

ダウン症の書家・金澤翔子さんも、躍動感のある文字を書かれて活躍されています。
何か一つ、誰にも負けない物を持っていれば、それを活かすこともできます。

障がいを持って生まれてきても、本人や周りの人たちの努力次第で道を開いていけます。
少しずつでも、障がい者に優しい社会になっていくことを強く願います。

では、今日もお読み頂きありがとうございます。